2025年7月06日
こんにちは！博多駅博多口から徒歩5分の歯医者、博多歯科・矯正歯科、院長です！
「一度にまとめて治したい」「インプラントも矯正もセラミックも気になる」——そんなお悩みをお持ちの方に向けて、今回は全顎治療（フルマウスリコンストラクション）について解説いたします。特に40〜60代の患者さまから、長年の積み重ねによる歯のダメージを総合的に治したいというご相談が増えています。
全顎治療とは？〜複数の治療を統合した“歯の再設計”〜
全顎治療とは、お口全体の機能と見た目を総合的に回復させる包括的な治療計画です。具体的には以下のような治療が組み合わさることが多くあります。
- 欠損部位へのインプラント
- 銀歯のセラミックへの置き換え
- 咬み合わせの崩壊に対する矯正治療
- 重度歯周病への再生療法
その場しのぎの修復ではなく、10年・20年先まで見据えた長期的な健康と審美性の回復が目的です。
これはすごく大事なコンセプトで、40-60代になると今まで治療してきたところが劣化してきたり、状態が悪くなったりで、限界を迎えてきます。再び同じような場当たり的な治療で対応しても再び同じことが起きるのです。
誤解しないでいただきたいのは、皆さんがちゃんと治療をしていないとか、今までの先生が適当に治療をしていたとか、そういった話でありません。
根本的に治療をできていたかという話です。
むし歯になったのであれば、なぜむし歯になったのか。
歯周病で歯を失ったのであれば、なぜ定期検診に通っていたのにそうなったのか。
治療＝削って詰める ではないのです。
むし歯になったのが詰め物の劣化であれば、劣化しにくいものに変える必要があります。
噛み合わせによって他の歯に負担がかかっていたのであれば、噛み合わせの治療が必要です。
治療の優先順位はどう決める？〜成功の鍵は「精密な診断」〜
治療の順番や組み合わせは、「すべて一気に」ではなく、段階的に設計することが重要です。
優先順位の決め方の一例：
- 感染源の除去（むし歯・歯周病の初期治療）
- 矯正による咬合の調整
- インプラントによる欠損補綴
- 最終補綴（セラミック等）での見た目の回復
このように、「見た目」よりも「機能回復」を先行することで、再治療のリスクを下げられるのです。
治療計画はどう立てる？〜CTやデジタル印象を活用〜
当院では、治療計画の立案時に以下のような診査・診断を行います：
- 歯科用CTでの骨量確認
- 咬合診断（フェイスボウ・咬合器使用）
- デジタルスキャンによるシミュレーション（インビザラインやセラミック設計）
これにより、患者さまのライフスタイルや予算、希望に応じた柔軟なプランが可能になります。
費用と期間の目安は？～“高額”でも納得される理由
全顎治療は、1本単位の処置に比べて費用も期間も大きくなる傾向があります。
◾️費用の目安（当院実績ベース）
- 矯正：約30万〜120万円
- インプラント：1本27.5万〜50万円
- セラミック（被せ物）：1歯あたり9.9万〜19.8万円
詳しくは料金表をご覧ください。
◾️期間の目安
- 軽度なケース：約3ヶ月〜6ヶ月
- 複雑なケース：1年〜2年
ただし、これらは状態・ご希望・優先順位によって大きく変動します。分割治療やフェーズ分けも可能です。
まとめ：まずは「診断から」が第一歩です
全顎治療は、決して“特別な人だけの治療”ではありません。歯に対する投資として、多くの方が関心を持たれています。
- 「一部ずつ治していたけど限界を感じている」
- 「今後の再治療はできるだけ避けたい」
- 「見た目も機能も両方回復したい」
そんな方は、ぜひ一度、包括的なカウンセリングを受けてみてください。
参考文献
- Dawson PE. Functional Occlusion: From TMJ to Smile Design. Mosby, 2006.
- Kois JC. Predictable Single Tooth Implant Restoration: A Comprehensive Approach. J Esthet Restor Dent. 2001.
- Yoon HI, et al. Interdisciplinary treatment planning for full-mouth rehabilitation. J Esthet Restor Dent. 2020;32(1):18-26.
- 村上和成ほか.「包括的歯科治療における診査・診断と治療計画の立案」日本補綴歯科学会誌, 2019.
