2025年6月28日

こんにちは!博多駅博多口から徒歩5分の歯医者、博多歯科・矯正歯科、院長です!
「固いものを噛んだら歯が割れた気がする」「神経を取った歯がヒビ割れてきた」——そんなご相談が、40〜60代の患者さんから近年特に増えています。
歯も消耗品なので徐々に摩耗したり、ヒビが入ったりすることがあります。
歯のヒビや破折は放置すると抜歯に至ることもありますが、早期発見・適切な処置を行えば、歯を残せるケースも多くあります。
今回は、歯が割れた・ヒビが入ったときに考えられる治療法について、抜歯を回避するための選択肢を解説します。
歯のヒビ・破折とは?原因とリスク
歯のヒビ(クラック)は、見た目ではわかりにくいことも多く、以下のような原因で起こりやすくなります:
- 硬いものを噛んだ(ナッツ、氷、骨など)
- 大きな金属の詰め物や被せ物がある
- 神経を取った歯(無髄歯)が脆くなっている
- 歯ぎしり・食いしばり
- 加齢による歯質の劣化
ヒビは放っておくと深く広がり、歯の根まで達すると抜歯が避けられなくなることもあります。
また、マイクロクラックという、目に見えないヒビもあります。
これはレントゲンでも検出が難しいので、経過で判断していくことが多いです!
ヒビや破折が見つかったときの治療法
歯を残せるかどうかは「ヒビや割れの深さ・方向・部位」によって変わります。
1. クラックが浅い場合:レジン補修やセラミック治療/マウスピースでケア
歯の表面に浅いヒビがある場合、以下のような治療で対応できます:
- コンポジットレジン充填(保険適用):ヒビを封じるように樹脂で補修
- セラミックインレー・クラウン(自費):噛み合わせの力を分散させ、ヒビの進行を防止
- マウスピース:歯にクッションを与えます。歯ぎしりがある方は保険でも作成可能です。
※神経が生きている歯では、過敏症状や違和感の経過観察も重要です。
2. 神経がない歯の破折:ファイバーポスト+クラウン
無髄歯(神経を取った歯)は脆いため、補強が必要です。
- ファイバーポストで補強:歯の根の中にグラスファイバー製の芯を入れて補強
- クラウンで全体を覆う:セラミックなどで歯冠全体を包み、破折の力を分散
特に奥歯では保険の銀歯よりも、自費のセラミッククラウンの方が適合・耐久性ともに優れ、再破折のリスクが下がります。
3. 歯の根まで割れている場合:抜歯+インプラントやブリッジ
歯根破折まで進行してしまった場合、抜歯が必要となることがあります。
その際の選択肢は以下の通りです:
- インプラント治療:隣の歯を削らず、審美性・機能性に優れた選択肢
- ブリッジ:両隣の歯を支えにして人工歯を固定
- 部分入れ歯:歯を削らずに済むが、違和感が出やすい
早期発見が歯を守るカギ
ヒビの初期は症状が出にくいため、定期検診や歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)による診査が非常に有効です。
また、次のようなサインがあれば早めの受診をおすすめします:
- 噛んだときに違和感や痛みがある
- 歯の根元がしみる・ジワッとする
- 被せ物の周囲がぐらつく、腫れる
まとめ|歯のヒビ・割れに気づいたら早めに相談を
歯のヒビや破折は、放置すると抜歯につながる大きな問題ですが、早期に対処することで歯を残せる可能性が大きく広がります。
当院では、精密検査やマイクロスコープを用いた診断、ファイバーポストやセラミック治療などの高度治療にも対応しております。
「歯が割れたかも」「違和感が続く」などの不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
参考文献
- Spatafore CM, et al. Diagnosis and treatment planning for vertical root fractures. Dent Clin North Am. 1992.
- Tamse A. Vertical root fractures in endodontically treated teeth: diagnostic signs and clinical management. Endod Topics. 2006.
- 川上佳一 他. 垂直性歯根破折の診断と治療戦略. 日本歯科保存学雑誌, 2015.