2025年7月08日

こんにちは!博多駅博多口から徒歩5分の歯医者、博多歯科・矯正歯科、院長です!
近年SNSなどで「短期間で歯並びがキレイになる」と話題のセラミック矯正。芸能人やインフルエンサーの投稿を見て、興味を持った方も多いのではないでしょうか?
早く綺麗になるし、色や形も自由自在で夢のような歯並び改善法ですが、その一方でリスクや誤解があることも事実です。
今回は、セラミック矯正の落とし穴と、歯を削らずに美しい歯並びを目指す選択肢について、わかりやすくご紹介します。
セラミック矯正とは?矯正治療と何が違うのか
セラミック矯正とは、前歯を削ってセラミックの被せ物(クラウン)を装着し、歯並びを「見た目上」整える方法です。
矯正とは歯を動かすことなので、厳密にはセラミック矯正ではなく、「歯を削ってセラミックを被せることによって、まるで矯正をしたような歯並びを得る治療」と僕は定義しています。
一方、矯正治療(ワイヤー矯正やマウスピース矯正)は、歯そのものを少しずつ動かして理想的な位置に並べる治療です。
以下に矯正治療とセラミック矯正を比較した表を作りました。

セラミック矯正の“落とし穴”
1. 健康な歯を大きく削るリスク
セラミック矯正では、健康な歯を大きく削りますし、場合によっては神経を取る処置や抜歯も行われます。一見キレイに見えても、歯の寿命を縮めてしまう可能性があるのです(Fuss Z et al., 2000)。
2. 歯並びは治らないことも
「並んで見えるだけ」で、実際の噛み合わせや歯の軸の問題は解決しないこともあります。将来的にかみ合わせのトラブルや顎関節症を引き起こすことも(Miyake H et al., 2017)。
3. 若年層への影響が深刻
20代で健康な歯を削ってしまうと、その後数十年にわたって再治療の連鎖(根管治療→再根管治療→抜歯→インプラント)に陥るリスクも。安易な選択は将来に大きな影響を与えます。
削らない「本当の矯正」という選択
当院では、健康な歯をできるだけ残す治療を大切にしています。特に以下のような選択肢をおすすめしています。
- マウスピース矯正(インビザライン等):目立たず取り外し可能で、歯を削る必要がありません。
- 部分矯正:気になる前歯だけを動かすことで、費用も期間も抑えつつ自然な仕上がりを目指せます。
- ホワイトニング+矯正の組み合わせ:削らずに白く整える選択肢として人気です。
まとめ|見た目以上に「歯の健康」を大切に
「すぐに見た目が変わるから」とセラミック矯正を選ぶ前に、ご自身の歯の寿命や健康に目を向けてみてください。当院では、患者さまの将来まで見据えたオーダーメイドの矯正治療をご提案しています。
確かに劇的に短い時間で綺麗な歯並びを得られることは大きなメリットがありますが、やはり健康な歯はそれに勝る価値があると思います。
もちろん、デメリットを上回るメリットがあれば、セラミック矯正も僕はアリだと思います。
「セラミック矯正と本物の矯正、どちらが自分に合っているのか分からない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
参考文献
- Fuss Z, Lustig J, Katz A, Tamse A. An evaluation of endodontically treated vertical root fractured teeth: Impact on prognosis. J Endod. 2000.
- Miyake H, Tsuruta A, et al. The risk of iatrogenic damage in prosthetic dental treatment: A review. Japanese Dental Science Review. 2017.
- 中村文彦. 「セラミック矯正」の功罪. 日本臨床矯正歯科ジャーナル. 2020.