2025年7月26日

こんにちは!博多駅博多口から徒歩5分の歯医者、博多歯科・矯正歯科、院長です!
50代前後になると、体調の変化とともに「歯ぐきが下がってきた気がする」「インプラントって更年期でも大丈夫?」というご相談が増えてきます。
今回は「更年期とお口の健康」に焦点を当て、歯ぐきの変化やインプラント治療への影響、そして予防・対策までわかりやすく解説します。
更年期とホルモンの変化が歯ぐきに与える影響
更年期とは、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少する時期を指します。エストロゲンは実は歯周組織にも大きな役割を果たしており、その減少によって以下のような変化が現れます。
- 歯ぐきがやせて下がる(歯肉退縮)
- 歯ぐきが腫れやすくなる(炎症反応の増加)
- 歯周病が進行しやすくなる
特に、この時期には骨の密度が下がる「骨粗しょう症」に近い状態が口腔内の骨にも及ぶため、歯を支える骨が減って歯の動揺が出てくることもあります。
「歯ぐきが下がる」と感じたら要注意
「最近、歯が長く見える」「歯と歯の隙間に食べ物が詰まりやすい」——こういったサインは、歯ぐきが下がってきた証拠です。
見た目の変化に加え、歯茎が下がることで本来歯茎に覆われるべき根面の露出により知覚過敏やむし歯のリスクも増加します。
歯ぐきが下がる原因は加齢だけでなく、ホルモン変化、強すぎるブラッシング、歯ぎしり・くいしばり、そして慢性の歯周病など多岐にわたりますので一概には言えませんが、なんにせよ体からのサインですので、問題ないものか、治療が必要なものかお気軽にご相談ください。
更年期とインプラント治療の関係
「骨が弱くなるとインプラントは無理なのでは?」と心配される方もいらっしゃいますが、ご安心ください。
インプラント治療は以下のポイントを押さえれば、更年期以降でも十分に成功が見込めます。
- CTによる精密な骨評価
- 必要に応じた骨造成(GBR)
- 骨代謝を支える栄養と生活習慣の指導
- 定期的なメンテナンスの徹底
近年の研究では、インプラント成功率とエストロゲンの影響に大きな相関はないとされており、骨質さえ安定していれば治療は可能です【1】。そう、つまり大事なのは骨の量なのです。骨の量は抜歯後に誰しもが20%ほど減っていきますが、元々の量に加え、喫煙や術後のうがいのしすぎ、糖尿病などによってさらに減ります。
お口の健康を守るための対策とは?
更年期を迎えても、以下のようなケアを意識することで歯ぐきや骨を健康に保つことができます。
- 定期的な歯科検診(3ヶ月に1回がおすすめ)
- プラークコントロール(正しいブラッシング、歯間ケア)
- バランスの取れた食事(カルシウム・ビタミンD・マグネシウムなど)
- 禁煙と適度な運動
結局は歯茎も体の組織なので、日々の健康管理が大事です。大きな治療も健康度で明暗が分かれることは言うまでもありません。
歯周病のリスクや骨吸収が進行する前に、早期のチェックと対応が大切です。
まとめ:更年期こそ、インプラントや歯ぐきケアの分岐点
更年期は体だけでなく、お口の中にも大きな変化が訪れる時期です。
だからこそ、早めのチェックと正しい知識が未来の健康と美しさを左右します。
当院では、50代以降の患者さまにも安心して治療を受けていただけるよう、CT診断や骨評価をもとに、将来を見据えた治療をご提案しております。
歯ぐきのトラブルやインプラントへの不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
参考文献
- Palomo L, et al. “The Influence of Menopause on the Success of Dental Implants.” International Journal of Oral & Maxillofacial Implants, 2020.
- 中山佳子 他「閉経後女性における口腔健康とホルモンバランスの関連」日本更年期医学会雑誌 2019年
- Consensus: https://consensus.app/papers/impact-hormone-replacement-therapy-periimplant-mucositis-gargalloalbiol/6aa564c0ce2f5d8f87a20cb4a4f88ee7/