2025年6月29日

こんにちは!博多駅博多口から徒歩5分の歯医者、博多歯科・矯正歯科、院長です!
今回は「昔治療した銀歯、今どうなってるの?」というテーマでお話しします。20〜30年前に保険診療で詰めた銀歯(メタルインレーやクラウン)は、当時としては最善の選択でしたが、今ではそれが「二次むし歯」や「見えないトラブル」の原因になっていることも少なくありません。
銀歯の寿命と経年劣化
銀歯は金属ですので、時間が経つと劣化や腐食、歯との隙間が生じることがあります。加えて、歯ぐきの位置が下がる「歯肉退縮」によって、銀歯の縁が露出し、むし歯が再発しやすくなります。
寿命の目安として、保険のルール的には半年です。半年で作り替えが算定でき、逆にいうと半年でむし歯が再発することも想定されると言えます。
文献的には、銀歯の詰め物では10年生存率67.5%、ブリッジに至っては10年生存率31.9%です。(日本の文献)

二次むし歯とは?
「二次むし歯」とは、以前治療した部分の詰め物や被せ物の下にできる新たなむし歯のことです。銀歯の隙間に細菌が入り込み、見た目には問題なくても、内部でむし歯が進行しているケースもあります。
特に40〜60代の方では、過去の治療が寿命を迎え、再感染による神経の炎症や抜歯リスクが高まっています。レントゲンでむし歯が見つかったり、レントゲンで写らないレベルでも銀歯が外れた時に中を見てみるとむし歯が見つかることも多々あります。
銀歯に隠れたリスク
- 歯との適合不良:微細な隙間から細菌侵入
- 金属アレルギーの可能性:イオン化した金属が体内に影響を与えることも
- 審美的な問題:笑ったときに銀歯が目立つ
- 歯ぐきの変色:メタルタトゥーと呼ばれる黒ずみ
今選べる、再治療の選択肢
再治療では、セラミックやジルコニアなど、見た目・精度・耐久性に優れた素材が人気です。これらは歯との適合性も良く、むし歯の再発リスクを抑え、金属アレルギーの心配もありません。
「銀歯があるけど問題ないから大丈夫」と思っていても、定期的なチェックと精密なレントゲン検査を受けることで、トラブルを早期に発見できます。
まとめ:銀歯こそ、見直しのサイン
かつての銀歯は、その時代のベストな治療でした。しかし、**今のあなたのお口に本当に合っているか?**を見直すことで、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。
「見えないむし歯」や「中で広がる炎症」は、見た目だけでは分かりません。気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。当院ではセラミック治療に関するご相談も受け付けております。
参考文献
- Spinas E, Dettori C, Baroni ML, et al. Secondary caries around amalgam restorations: A review. J Clin Med. 2020;9(7):2075. https://doi.org/10.3390/jcm9072075
- Minakuchi S, Suzuki S, et al. Relationship between secondary caries and gaps under restorations detected by high-resolution imaging. Dent Mater J. 2013;32(5):724-729.
- 日本補綴歯科学会. 補綴治療における長期的安定性に関するガイドライン(2023年改訂版).