2025年7月17日

こんにちは!博多駅博多口から徒歩5分の歯医者、博多歯科・矯正歯科、院長です!
皆さんの中には、「昔治したはずの歯がまた悪くなった…」「同じ歯を何回も治療している気がする」と感じたことはありませんか?実は、歯科治療には“回数の限界”があります。治療のたびに歯を削るので、どんどん歯がなくなっていくからです。
そして一度治療した歯が何度も再治療になる背景には、いくつかの共通する原因があります。今回は【再治療の回数とその限界】について詳しく解説し、再治療を防ぐための具体的な対策もお伝えします。
再治療に限界はあるのか?歯は削るたびに弱くなる
歯科治療は「修復の繰り返し」でより深くに進んでいきます。小さなむし歯のときは詰め物、進行すれば被せ物、さらに神経を取る根管治療、最終的には抜歯と、段階的に治療のフェーズが上がっていきます。
特に大きなむし歯の治療は一度削った歯質が戻らないため、回数を重ねるほど「残せる歯の量」が減り、次の治療法の選択肢も狭まります。
再治療が多い人の特徴3選
① 劣化しやすい材料での治療が多い
保険の銀歯やレジンは初期のむし歯治療としては有効ですが、経年劣化しやすく、二次むし歯の原因になることが多いです。特に40〜60代の方は「若い頃の治療が寿命を迎える」タイミングです。
② 噛み合わせ・歯並びが悪い
歯ぎしりや噛み合わせ不良があると、治療した歯に強い力が加わり、割れたり、根が折れたりするリスクが高まります【1】。
③ メンテナンス不足
定期的なメンテナンスを怠ると、詰め物や被せ物の境目から細菌が侵入し、再治療の原因となります【2】。
「最後の治療」に近づくための予防法
セラミックや金歯を使う
セラミック治療は「削る量が少なく済む設計」「噛み合わせを精密に調整することで長持ちしやすい」ことが分かっています【3】。単なる“白い被せ物”ではなく、咬合管理も重要です。
こんな話をすると、「また歯医者が金儲けをしようとしてる!」と思われるでしょうが、あえて書きます。多くの歯科医療従事者(僕の周りの)は銀歯を入れませんし、神経治療も専門医のところでするし、歯がなくなったらインプラントを入れます。仕事で散々再治療も見てきているし、勉強すればするほど材料の劣化は深刻な問題であるとわかるからです。
歯周病管理の徹底
歯周病による骨の喪失は、詰め物・被せ物の寿命を縮めます。特に50代以降は歯周ポケットの管理が再治療リスクを下げる鍵です。
定期メンテナンスと咬合管理
特に40代以降は「治療後が勝負」です。半年〜1年ごとの定期メンテナンスと、噛み合わせのチェックを習慣にしましょう。
まとめ|「一生モノ」の治療戦略を
再治療は歯の寿命を縮めますが、「正しい治療選択」と「予防の徹底」で十分コントロール可能です。「何度も治療して疲れた…」という方ほど、今が“最後の治療”のタイミングかもしれません。当院では再治療が減る包括的な治療をご提案しています。気になる方はお気軽にご相談ください。
参考文献
【1】Siqueira JF Jr, Rôças IN. “Clinical implications and microbiology of bacterial persistence after treatment procedures.” J Endod. 2008.
【2】López-Jornet P, Camacho-Alonso F. “The effect of maintenance in periodontal patients with implants.” Med Oral Patol Oral Cir Bucal. 2010.
【3】Sailer I, Makarov NA, Thoma DS, Zwahlen M, Pjetursson BE. “All-ceramic or metal-ceramic tooth-supported fixed dental prostheses (FDPs)? A systematic review of the survival and complication rates.” Int J Prosthodont. 2015.